プロジェクト管理方法論(PMBOK準拠)
スケジュール管理,ROI管理,FP分析(ファンクションポイント分析),EVM(アーンドバリューマネジメント),日報管理,勤怠管理
D-ROOT A-Sign

定量的可視化と定性的可視化

プロジェクトにおいて可視化すべきファクターは、下記のとおり分類することができます。

種類
ファクター
可視化のポイント

定量的

コスト(費用)

計画コスト・実績コストなどの整合的管理

スケジュール(計画)

月次計画・日次計画などの整合的管理。
各日付の共有(ワークフロー)。

定性的

ニーズ(要件)

過不足ないシンプルな表現

クォリティ(品質)

成果物の品質:要件と成果が一致しているか
プロセスの品質:適切にマネジメントされているか

リスク(脅威と好機)

影響範囲の網羅性と未知に対する洞察

バリュー(効果)

目的の多様性と推移性を認識し、とりこぼしのない評価を行う。
多様性:業務効率化・営業効果・内部統制など
推移性:因果関係(手段と目的)の推移性

定量的可視化 〜 Transparency

定量的ファクター(コストなど)の可視化とは、複雑なデータ構造を透明化し、トレーサビリティを高めることです。
定量的ファクターは時間とともに変化し、他のファクターと複雑に絡み合っていますが、一意的な可視化が可能です。
定量的可視化は、複式簿記業務のように定型化が可能なので、PMツール・PMアドミニストレーターによる定型的手法が適用できます。

トレーサビリティ
例)コストの可視化

プロジェクト進行過程の中でコストは変化しつづけます。実際、見積コスト、作業進捗に応じて予想するコスト、完了時の確定コストは、大きく異なる可能性があります。また、契約コスト、予算コスト、月次計画コスト、日次計画コストと様々なコストの関係は複雑です。
しかし、各時点で、コストを測量し、さらに将来の総コストを予測するなどのコストの可視化は、定型的手法により可能です。

定性的可視化 〜 Representation

定性的ファクター(ニーズなど)の可視化とは、抽象的な実体を表現・具象化することです。
定性的ファクターは時間とともに変化し、ファクター自体に複雑性・多面性を内在しており、可視化は一意的ではありません。
定性的可視化に対しては、既にプロセス管理などの多くの手法・コンサルティングサービスがあります。 しかし、定性的可視化の本質的な部分を定型化することは困難であり、 現実的には上級SEなどによる高度なスキル(ある意味属人的スキル)が必要になります。 属人的スキルの必要性を回避できない現実を直視せず、仕組みだけによる作業を期待し短絡的に定型化を行った場合、 仕事の「中抜け(肝心な部分が抜けた状態)」が発生する可能性があります。

多様な表現

 

 

例)要件の可視化

プロジェクトにおいて、「要件定義」は最も重要な工程といえます。しかし、要件の「行間のとりこぼし」や「未来の変化」は、十分起こりうる事態であり、要件を完全に定義することは、現実的にはほぼ不可能な作業です。工程名称としても、「要件定義」ではなく「要件分析」の方がより適切です。よって、可視化された要件は、ニーズの一側面を表現しているのに過ぎないと認識し、流動性への十分なケアが必要です。


 

可視化の手法

定量的可視化の手法

D-Methodでは、定量的ファクター(コスト、スケジュール)を下記の定型的手法で可視化します。

 

■流動性の可視化 〜EVM〜

刻々と変化するファクターを時間またはコストに換算集計し、アーンドバリュー進捗管理を行います。
例えば、状況の変化を素早く捉え、最終的なコストを予想します。

■コスト・バリューの可視化 〜ROI〜

フェーズやタスクにおいて、コストとバリューを関連付けし損益評価します。
例えば、プロジェクトコスト・発注金額・財務支払などを踏襲したコストと受注金額・業務効率化・営業効果・コンプライアンス対応などを踏襲したバリューを関連づけて損益評価します。

■機能量の可視化 〜FP法〜

FP法(ファンクションポイント法)・成果量測定などにより機能を定量化します。
例えば、機能量を算出できるような機能設計書を作成します。

機能の定量化はマネジメント以外の作業と密接に関連する作業です。
実際、機能の定量化はアクティビティの対象である機能設計書をもとに行います。

定性的可視化の手法

D-Methodにおける、定性的可視化(要件定義など)に対する施策は下記となります。


■定性的可視化の担当者の負担を減らすために、定量的可視化(コスト算出など)を可能な限り自動化・分業化します。

■定性的可視化の流動性に十分対応できるマネジメントを行います。
各決定(要件定義など)は迅速に行いますが、同時に各ファクターを統合的に可視化した上での決定の変更も許容します。
コスト予備費(コンティンジェンシー予備、マネジメント予備)の扱い、要件の変更ルールなどについては、
柔軟かつ統制の効いた仕組みにします。

■経験的に有効と確認された原則(要件定義に対するスタンス)・手法(要件に付加すべき属性など)の示唆

可視化の条件

スピードとコスト

流動性への対応と現実的な運用のためには、可視化はスピーディーかつ低コストで行う必要があります。
そのためには、下記の施策が必要です。

■定量的ファクターの可視化

方法論・ツール・専門スタッフなどを活用し、定型作業(ルーチン)として処理する。
多くのプロジェクトにおいて、定量的ファクターの可視化をルーチン化せずPM自身が多くの時間を費やしコスト増を招いています。

■定性的ファクターの可視化

各ファクターを「仮」であってもタイムリーに決定します。また、可能な限りシンプルに可視化します。

局所的可視化の回避

各ファクターは可視化されて初めて問題意識をもつ対象となります。逆にいうと、可視化しなければ問題意識をもたずに済むことになります。このようなパラドックスにより、例えば、1つのファクターだけを可視化してしまい、他のファクターとの管理のバランスが著しく崩れる事態が起こります。

■ケース1 : 発生したリスクに対する過剰対応

あるリスクだけを可視化し、他のリスクを見過ごしたり、コスト超過になる場合があります。
例えば、実際に発生した事故に関連するリスクに対しては過剰に懸念し、他の未知のリスクやコストに対する問題意識が欠如する場合があります。

■ケース2 : 時間契約労働に対するコスト意識欠如

あるコストだけを可視化し、他のコストを見過ごしたり、バリューを評価しない場合があります。
例えば、請負契約は一括定額で成果を明示するので費用対効果は可視化しやすいですが、 派遣契約は時間従量制なので費用対効果は可視化しにくいです。 また、正社員は時間の計測すらしない場合があるので、費用対効果の可視化はさらに困難です。 請負契約の成果を正しく評価しなかったり、派遣契約や正社員のコストを成果と紐付けなかったりした場合、 請負契約のコストを過剰に懸念し、派遣契約や正社員のコストに対する問題意識が欠如する場合があります。

■ケース3 : 成果主義の失敗

ある成果だけを可視化し、他の成果を見過ごしたり、評価しない場合があります。
例えば、特定の指標(売上など)でのみ評価することによって、評価対象外の要素(利益、協調性、部下の育成など)に対するインセンティブがなくなる場合があります。

知覚と網羅性

このように局所的に可視化した場合、逆にマイナスの結果を招くことになります。だからといって短絡的に網羅性を求めた場合、形骸的な可視化となってしまいます。可視化する場合は、全体を俯瞰した知覚を拠り所に意味のある網羅的な可視化を行う必要があります。

To be or not to be

流動性に対応した可視化が実現できると、例えば進行中のプロジェクト・タスクを中断するという大胆かつ本質的な判断すら可能になります。

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